1-4 筋整流法伝承の必要性

腱引きが現代に重要だと考える点は、救命法にあります。
緊急の事態は、一刻を争います。救急車を呼んでも、到着までの貴重な時間が刻々と過ぎていってしまいます。いち早い対処が救命率を上げていくのです。 もしもの時に、この腱引きの救命法を知っていることによって、多くに人の命が救えるのではないかと考えているのです。
師匠だった小林さんは、東北の柔術家から腱引きを伝承したという話しのように、腱引きは柔術から生まれたようです。小林さんは武道をしていませんでした し、私も武道をしませんが、腱引きの技を見ていくと、武道の練習中に起こる怪我に対応するために発達して来たことがよくわかります。
昔の武道は稽古でも真剣勝負でした。真剣こそ使わなかったとしても、木刀で打ち合い、相手を倒すために組み合う稽古は、ある意味命がけでした。木刀であっても、急所に当たれば、命を落としかねないからです。
骨接ぎとして知られる柔道整復術は、柔道の練習中に起こる捻挫、脱臼、骨折の対処法として発達し、現在に至っています。
一方腱引きは、柔術、その前には武士の時代の武道から生まれたようです。木刀による稽古以外に、甲冑を着けての組み合いなどによる故障を正すために編み出されてきたと聞きました。
急所に打撃が入った場合、瞬間的に窒息状態になる場合があります。腱引きでは、この窒息状態を直す救命法があります。この救命法を現代に応用すれば、多 くの人が救われるのではないかと考えています。身近に腱引きの技術のある人がいれば、より多くに人に恩恵があるのではないか。
これが、直りすぎて、姿を消してしまった腱引きを、最後の伝承者として現代に甦らせたいという理由のひとつなのです。
予防医学、未病という考え方が広がってきました。自分の体は自分で守るということが、これから注目をさらに集める考え方になると思います。
私は、多くの人に腱引きの基本的な技術を知ってもらうことで、痛みで苦しむ人や、緊急事態で苦しんでいる人が救われることを願い、広げていきたいと考えているのです。


 

こちらのページは筋整流法創始者である小口昭宣による「筋整流法」「腱引き療法」の解説です。一問一答形式の「よくあるご質問」のページもありますので、そちらもご覧ください。